Monさんちーむ の ぶろぐ。

み、見ちゃダメ!(建前)

タイ語はどこからやってきたのか。(2)

  こんばんは。

 Monさんちーむです。

 本日は前回の続きで、タイ語がどのように成立してきたかについて少し掘り下げて、説明させてもらおうと思います。

 

 前回、タイ語は文字はインド系、音声と民族は中国南東部から南下してきたとお伝えしました。この時点でタイ語の下地に2つの要素があることが分ります。

 そして今回注目したいのは、タイ語の ”語彙” についてです。語彙について調べれば、どの国から文化的・宗教的影響を受けたかが分かります。

 

 では、ここで、タイについて一通りおさらいをしてみましょう。

 

 政体:立憲君主制チャクリー王朝、現国王:ラーマ10世)

 宗教:国民の90%以上が上座部仏教徒(次いで、イスラーム教、キリスト教

 民族:75%がタイ族、14%が華人、ついでマレー系、インド系、少数民族

 

 言語に関係する情報だけを簡単に抜粋してみました。余談に、宗教と民族の項目をみてもらうと分かると思うのですが、国家として、民族や宗教の”ブレ”が少ない国家なのです。付け加えると、国家に付与されているイメージと実際の数値にそこまで差異がないということです。

 さて、まず政体についてですが、日本と同じく立憲君主制です。ですが、日本よりかは国王の権限は強いものとなっています。2016年10月に国民から絶大な尊崇を受けていたラーマ9世が崩御しました。現在は子のラーマ10世が在位していますが、問題も多く、今後の王室の役割に影響が出ないか懸念されます。また、日本と同じように、現代になって一夫多妻制から一夫一妻制に移行したことで、後嗣問題が起こっています。王族や元王族はタイ国内にすごい数が存在しているのですが、代を経るごとに官位が下がり、やがて王位継承権を失っていくので、直系の後継不足というのは深刻な問題です。

 また、王族は仏教徒でなければなりません。すなわち、国王とは仏教の守護者でもあるのです。ここで、王室と仏教が繋がりました。日本の天皇陛下と同じく、タイ国王は仏教の重要儀式の遂行者でもあるのです。タイの仏教は様々な面で独自に発展してきたので、また別の機会にお話できたらなと思います。

 

 仏教についてですが、日本と同じように勿論経典があります。宗教用語は多分野よりも音を残して対外的に伝播していくため、別々の国でも似たような単語になる場合が多く、興味深いです。では、タイにおける経典が何語で記されているかご存知ですか? サンスクリット語? 実は違います。 答えは パーリ語 です。当然、サンスクリット語から流入してきた宗教語彙もあると思いますが、経典にはパーリ語経典が用いられているため、圧倒的にパーリ語の語彙が多いです。ただ、パーリ語サンスクリット語が元になっているので、違いが大きくないものが多いので、タイ人は「パーリ・サンスクリット語が語源」と言う場合もあります。

 サンスクリット語パーリ語は共に印欧語族に属し、サンスクリット語は僅かながらも、現在もインドで使用され、インドの公用語の一つにも含まれています。一方で、パーリ語は既に死語であり、仏教用語などでのみ現在も使用されています。

 政体の段落でお話ししたように、タイは国家と宗教が深く結びついています。よって、タイ語には多くのサンスクリット語パーリ語借用語があるのです。パーリ語については宗教語彙の他にも、多くの文化語彙が現在でもタイ語に残存しています。これがひいては、タイ人にとっての教養の有無の判断材料となり、タイ語における語彙レベルのヒエラルキーを生み出しています。

 

 思っていた以上に話が長くなってしまっていますが、次回ではタイ語に影響を及ぼした他の言語についてと、今回のトピックのまとめを行いたいと思います。

 

 それでは次回も乞うご期待。